近所のオカマが良いこと言った ~モヤモヤ編~
オジバの名言シリーズ。
少し時間が空いたのは、オジバが、ぱったりと喫茶店に来なくなったから。少し心配していたのだが、暑い休日の昼間に例の喫茶店に行ってみると、昨日もいたかのように、いつもの席に座ってカフェラテを飲んでいた。もちろん、アイス。季節はワンシーズン変わった。
ほっと安心して、アイスコーヒーを飲んでいると、数名のママさん連中がドヤドヤと喫茶店に入ってきた。このパターンは、もしかして、と、なんとなく心が躍った。耳をダンボにすることにした。
しかし、ママさん連中の話は、特にこれといって内容もなく、月並みな話題で、笑ったり、頷き合ったり、時には話が中断されてスマホをいじったりと、時間だけが虚しく過ぎていった。
いや、そんなはずはない。
どこかで、何かの話にひっかかり、オジバの名言が出るはずと、次第にドキドキしながら集中させていたのだが、ママさんたちの飲み物はすでになく、誰かの合図と同時に、晩御飯の買い物があるのか、そそくさとお会計をしませて出て行ってしまった。
なんてことだ。
今まで、このようなことはなかったのに。もはや、往年のオジバの輝きはなくなったのか。
少し未練を残しつつ、私も喫茶店を出ることにした。
喫茶店内のテレビでは、今、話題の「薬物で捕まった元俳優と、その妻」のニュースが流れていた。
レジでお会計をしている、その時であった。
「間違った道を鮮明に覚えたから、毎回、道を間違うんだよ。」
オジバの口から光の矢のような言葉が飛んだ。
今回のオジバのターゲットはテレビのニュースだったのだ。
私はうかつにも、オジバの標的をママたちと間違ってとらえていた。
後の祭りである。
喫茶店からの帰り、歩きながら、オジバの言葉を反芻する。
「間違った道」、「鮮明に」、「毎回」、どう読み取ればいいのか、私の頭では、いまだ答えは出ていない。
しかし、何かのメッセージがあるはずである。次回までに、それを解明したいと思う。
などと、考えながら帰っていると、家までの道を間違えた。
ブッチ
高校卒業後に映画の都ハリウッドに行くことを真剣に考えたが、周囲に猛反対をされ、しぶしぶ大学に進学。しかし、年間1,000本以上の映画を観る映画オタクになっただけで、映画の道はあきらめきれずに映画会社にもぐりこむ。そこから、ズブズブとエンターテインメントの世界の底なし沼に嵌まり込み、今、人生の道を見失っている途中。次の分岐では、右に行くか、左に行くか。