レズビアンカップルはOKでゲイカップルはダメな理由。ラブホテル考察
約30年ぶりに母校の中学校までの通学路を歩いてみた。周囲にカラフルなラブホテルが建ち並んでいる。今、思うと刺激的な環境の中を通っていたものだ。一軒だけ廃墟になっているが、他の数軒は名前を変えながらも全て営業中なのだから、衰退しているラブホテル業界の中で健闘している方だと思う。
大阪府は池田市のラブホテルでゲイカップルが宿泊を拒否された。被害者が、そのことをネットに書くと炎上し、大阪府から拒否したラブホテルに行政指導が入った。先日、関西在住のゲイの友人と飲んだ際、その話題になった。関西方面のゲイの間では、かなり話題になったらしい。彼自身も出会い系サイトで出会ったゲイと実際に会って意気投合した場合、ラブホテルを使用することがあると言う。
「ゲイカップルを拒否するラブホテルは多いよ。まだレズビアンカップルの方が入りやすいんじゃないかなぁ。ラブホ女子会は認めているところもあるから、それにまぎれちゃえばわからないしね」
渋谷の円山町のラブホテルで同性カップルが入れるかどうかを調べたサイトを拝見すると、パートナーシップ条例が施行されている渋谷でさえ、同性カップルが入ることができないラブホテルが意外に多くあることに驚いた。中にはレズビアンカップルはオッケーだが、ゲイカップルはダメというラブホテルがあった。
ゲイカップルが入れない理由は何か。昔、映画の制作会社に出入りしていた頃、薬物に詳しい映画監督は麻薬など違法薬物の受け渡しの場所としてラブホテルを使用することがあると言っていた。おそらくそういった防犯上のこともあるのだろう。
「薬物はあるかもしれないけど、ゲイカップル宿泊可能ってオープンにしてしまうと、その情報は一気に流れるから、そのホテルはゲイばかりが押し寄せる可能性はあるよね。そうすると異性カップルは来なくなると思うよ。つまりラブホテルにとってはイメージダウンになるってこと」
今だったらイメージダウンどころか同性カップルを応援するラブホテルなんてイメージアップになると思うのだけれど。
「わかってないなぁ。世の中、そんなに甘いもんじゃないって。特にラブホテルなんて「性を営む場所」だからね。本性がむき出しになるところは偏見だってむき出しになるんだよ」
その会話を思い出しながらラブホテルの間を歩いていると、一人で入っていく中年男性を見かけた。今、流行り(?)の一人ラブホというものだろうか。
その晩、地元の消防団の方々と飲んだ際、そのことを話したら、
「あそこはデリヘルを呼ぶことのできる有名なラブホだよ」
ラブホテル経営もあの手、この手で大変なのである。
イシコ
女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を歴任。その後、ホワイトマンプロジェクトの代表として、国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動を行い話題となる。一都市一週間、様々な場所に住んでみる旅プロジェクト「セカイサンポ」で世界一周した後、岐阜に移住し、現在、ヤギを飼いながら、様々なプロジェクトに従事している。著書に「世界一周ひとりメシ」、「世界一周ひとりメシin JAPAN」(供に幻冬舎文庫)。
セカイサンポ:www.sekaisanpo.jp