ゲイ人は芸人ではありません
今回は当たり前のことを書くわよ。
近年急速なLGBTの環境の変化をみると、前に進んでいる部分とそれゆえに新たに起きる問題点が色濃くなってきたことがわかる。先日ニューハーフの皆さんのいるショーパブに行って、東の女王「白い部屋」の朋子ママと西の女王「ベティのマヨネーズ」のベティママと同時にお会いしてきたんだけど、その時、初めて会った同行のメンバーに最悪の奴がいた。友人の友人でお店とは仲が良いらしいんだけど、玄人ぶって金を出せば、なんでも良いだろうという態度。自分でも笑いを取るから、まだマシなんだけど、まあ、とりあえず、客、店のスタッフ、オカマは見下す対象という態度。不愉快この上なかったけど、二人の大ママの手前、なんとか怒りを抑えていましたよ。でもね、そこで考えたのが人権の問題なわけです。
今まで私達は、カミングアウトしたら、職業選択の自由すら無かったわけです。美容業界、アパレル業界、水商売、エンターテイメント業界、、、様々な業界で活躍しているLGBTの方々はいらっしゃるけど、それもほんの一握りで、就職問題に関しては日本はまだまだまだ遅れていますよね。テレビじゃマツコ一人勝ちだし、ショーの舞台ではニューハーフの方々は本当にきらびやかな世界を披露してくださる。しかし、しかしなのです、オカマって、なんで笑わせなきゃいけないの? 肌を見せなきゃなんないの? って話なわけ、、、。
トランスジェンダー(性同一性障害。この言い方にもメスを入れなきゃいけないけど)の方々で性別適合手術(「性転換手術」は当事者の方々にとっては差別や違和感のある言葉なので皆様もご注意あれ)を受けた人々もオカマと同様に、自由に職業を選択することは難しい。夜の商売、エンターテイメントの世界で綺麗な踊りやお客さん楽しませるのが好きな人は良いけど、酒も飲めない、笑いも取りたくない、踊れない人ってどうするの? 一般なら事務職や販売職やら簡単につけるけど、アルバイトすら簡単に手に入らないのが今の日本。オカマ、セクシャルマイノリティ=笑いを取らなきゃいけない、面白い話をしなきゃいけないって違いますよね? つまんないオカマだっていっぱいいるんですよ。一般人なんかつまんない奴が大半じゃない。その時同席してた銀座の女なんて本当最悪だったわ。笑いも取れない、切り返しも悪く、まさに●×女!
現在では、LGBTとは関係ないところで、職業選択の自由や、職業差別撤廃の動きって活発化してるけど、「セクシャルマイノリティという人生を選んだのだから仕方がない」という考えは流石にもう通用しないし、私達もこれまでが当たり前だったから、今までそうだったからではなく、今後の世の中を切り拓かなければいけないと勉強になった一日だった。
諏訪雄基
フランスで出版社、若手デザイナー発掘の仕事を経て、2001年より、国内でアパレル、インテリア、フードなどのトレンドデータを基にした商品企画コンサルタントとして活動。これまでに、ファッション/ANNA SUI、インテリア/ハーマンミラー、フード/ミスタードーナッツ、など数多くの企業プロジェクトに携わる。 2010年よりLGBTマーケット並びにLGBTから拡散させる市場の国内初の商品企画コンサルタントとして活動。 現在ではコンサルタントと並行して、ファッション、LGBTのジャーナリストとしても活動し現在に至る。